2025年10月4日土曜日

Vixen VSD90SSにPENTAX RC 0.72X35をつけて遊ぶはなし

 さて、金欠です。PENTAX MS-5を勢いで調達するなどしたため絶賛金欠です。

すっかりベランダ天文台の主役となったVixen VSD90SSでレモン狩り(C/2025 A6 Lemmon)したいなと思いました。

彗星は分単位で姿が変わる天体のため、速いレンズは正義です。つまりレデューサーを使いたいです。

VSD90SSの純正レデューサーといえば、Vixen レデューサーV0.71xです。大艦巨砲主義!周辺減光ほとんどなし!メーカー小売価格148,500円!おいおい中古のR200SSが買えちまうぜ!

無理です。金欠の今買えるものではありません。


ところで、VSD90SSは御存知の通りPENTAXの天体望遠鏡の末っ子なわけです。

ドローチューブから先をPENTAXの接眼部D、RC 0.72X35、各社カメラアダプタと繋いでいくと、銀塩写真時代の設計ではありますがPENTAXのレデューサーとしてRC 0.72X35が使えます。

(PENTAX接眼部Dは接眼側が60.2mmのPENTAX独自規格です。Vixenさんが特許等を引き継いた際にこのへんの規格も継承されています。このため、接眼部DのかわりにVSD90SS付属のスケアリング調整リングでも接続できるはずですが、少し短くなるため84mm延長筒を追加する必要がある・・・かもしれません。検証してません)

PENTAXのEDHF系以降の天体望遠鏡はフラットフィールドかつ写野のフラットさを売りにしていたため、RC 0.72X35との光学的な相性も悪くないはずです。

ちょっとだけ晴れたので、とりあえず組み立ててASIAIRのAuto focusingを走らせてみました。カメラ側はASI2600MC Air(APS-Cセンサ、画素ピッチ3.76μm)です。

HFW3.16ピクセルで最良のピントだと判定されました。いつもの環境で直焦点にするとシーイングの良いときで2.8程度なので、中心像の星の大きさにはそれほど違いはなさそうです。


画像中心と周辺での星像の比較をしたかったのですが、あいにくこの日は雲が多くオートガイドが暴れてしまったため評価できる画像が得られませんでした。

これはひどい・・・



続いて、周辺減光に関して評価してみました。フラット画像の生成にはトレース板を光源として用いているので、積分球のような理想光源ではないことをお断りしておきます。

評価にはASTAPのBackGroundValues機能を用いました。


APS-Cの最周辺、最も暗くなったところで96.7%の結果でした。銀塩写真時代のレデューサーとはいえ、35mmフィルム向けの光学系のうち中心のいいところだけ使っているのでそれなりに頑張れているようです。

セッティングが悪いのかやや偏心気味ですが、全体的になだらかに暗くなるパターンですし補正にはあまり苦労しなさそうです。お気楽に楽しむ分にはフラット補正自体しなくてもよいかもしれないですね。


今後の課題として、星像の評価と、この組み合わせをフルサイズセンサで使った場合の評価をしないといけませんね・・・


え?オチですか?

我が家のベランダではレモンちゃんがベランダの壁に阻まれて一生撮れないことが判明したことですかね・・・ 遠征しなきゃ・・・

2025年10月3日金曜日

ASTAPでBackGroundValuesするときのやり方

 ASTAPのBackGroundValuesに関する使い方メモ

HIROPONさんの「星のつぶやき」でASTAPによるフラット画像の評価がされていました。

で、これはいいなと思ったけれど若干試行錯誤が必要でした。

絶対にあとでわからなくなるので、備忘録を書きます。

ASTAPをインストールして、分析したいfitsファイルを開いたのがこちら

ToolsメニューのImage inspectionを開きます。



Background contourを使うと指定した段数になるようリサンプリング?されるので見通しがよくなります。




で、一番右のBackground valuesをクリックするといい感じに明るさを評価できる数字が出てきます。




2024年12月12日木曜日

PENTAX 125SDHFを調達した話

 秋にヤフオクでPENTAX 125SDHFが出品されました。前オーナーが大切にされていた代物のようで、多少のレンズ拭き跡はあるものの光学系のコンディションは良好そうです。

デジタルカメラ時代のSDPシリーズではなくフィルムカメラ時代のSDHFではあるものの、個人でギリギリ遠征運用可能なアポクロマート屈折望遠鏡、なおかつPENTAX製(←ここ重要)というのに惹かれてポチってしまいました。


受け取った。どうしよう。デカい。800mmF6.4はデカい。

現在のPENTAXが販売しているものでは一番デカいHD PENTAX-D FA 150-450mm F4.5-5.6 ED DC AWを並べてみたが、小さくて可愛い便利ズームレンズに見えてしまう。


一通り分解整備したところ、おそらく前オーナーが装着したまま忘れていたレデューサー(SMC PENTAX RC 0.77X 67)が出てきました。(前オーナーに確認したところ追加料金不要とのことだった。ありがたや)

レデューサーだけ若干カビ痕らしきものがあるが、周辺のみなので影響はあまりなさそう。いずれNSBテクノスさんあたりに整備お願いしようかと思います。67対応のレデューサーなだけあってこちらも非常に大きく、接眼部Dの対物側の内部にネジ込む形で装着されドローチューブ内に大きく食い込む形でした。


↑PENTAXの天体望遠鏡総合カタログより一部抜粋。これにはRC 0.77X 67は載っていません。どなたか当時のカタログ持ってたら複写させてください・・・

脱線ですが接眼部DはVixen VSD90SSでも使えます。このほうが望遠鏡のシルエットが格好いいと思います・・・ 諸々の設計や特許、技術者を引き継いでいただき、PENTAXの系譜を繋いでくれたVixenさんには足を向けて寝られません。

少し魔が差してVSD90SS~RC 0.77X 67~接眼部Dの構成を一度組み立ててみましたが、VSD90SSの後群レンズにRC 0.77X 67がモロに干渉します。ドローチューブをめいっぱい伸ばすとぶつからずに組み込めますが、怖くて無限遠での合焦ができるかどうかまで検証できませんでした。

脱線おわり。


さて、鏡筒を買ったは良いものの載せられる架台が我が家にありません。愛用しているPENTAX MS-3N赤道儀にこんなもの無理に乗せたらカウンターウェイトがいくらあっても足りないし、ウォームギアがやられること間違いなし。

本当はPENTAX MS-4赤道儀を調達したいけれど、何処にも出物がない。天文ショップやヤフオクあたりに出てくるのを根気よく待つしかなさそうです。昨年に一度ヤフオクで見かけた時に多少無理してでも落札すべきでした。正に、買わずに後悔するより買ってから後悔しろというやつです。

仕方がないのでAM5N赤道儀を発注しましたが、人気機種なので小海の星フェスに間に合いそうにありませんでした。テレスコ工作工房の斉藤さんに相談したところ、MS-55i赤道儀を1日借りられることになりました。


あいにく11月8日は大気の状態に恵まれませんでしたが、揺らぐ月面や木星、アルビレオなどを通りかかった方々に楽しんでもらうことができました。

個人的にはPENTAX公式さんが150SDPを毎年持ち込まれていたので覗き比べてみたかったのですけれど、今年は105SDPでした。150SDPはやっぱり重くて運用が大変らしい。去年の撤収時に「お神輿~」とか言って一緒に担がせてもらったのは正解でした。またいつか150SDPに会いたいなぁ・・・


時は流れまして小海星フェスが終わって約2週間後、AM5N赤道儀がやっと到着。


MS-3Nより軽いのに125SDHFを静かに軽々振り回すのが頼もしい。質量がないため突風に対して弱く感じますが、たぶんテレスコ工作工房さんからお借りしたPENTAX 55i赤道儀が素晴らしすぎるのだと思われます。質量に勝る振動対策はありませんね。

我が家のベランダではこのサイズの天体望遠鏡を動かそうとすると、動かし方によっては窓や柵に干渉して倒れかねません。リモート運用は危険ですね・・・


12月8日の土星食はベランダからこの鏡筒で動画記録を残してみました。直焦点でこれだけ迫力のある絵になるのはやはり楽しいですね。

貴重な鏡筒ですので、息子やその次の代まで使えるよう大切に管理・運用していこうと思います。




2022年12月17日土曜日

PENTAX MS-3(N)赤道儀自作コマンダーの改良 LX200コマンドへの対応

2022年初頭にて、PENTAX 75SDHF鏡筒にPENTAX MS-3N赤道儀の組み合わせをオークションで部品を集めて組み立てたのだけれども、実は動作するコマンダーが手に入りませんでした。

仕方がないので、赤道儀をバラして内部のモーターの型番やピンアサインを調べたり、天体望遠鏡カタログから歯車の歯数を調べたりして動かし方を解析しました。

あとはArduinoマイコンにMP4401なんて新しいんだかレトロなんだかよくわからない組み合わせで回路をでっちあげて、適当にボタンを付けてできあがったのがこちら。










16倍速までの動きができて、手元の灯りや極軸望遠鏡のランプなども使える代物が夏頃にはできていたわけです。


さて、おやじねこ氏の言葉を借りることになりますが、PENTAXの赤道儀はすばらしい精度なのです。ただし、いかんせん発売から時間が経っており、機能的にはなかなか難しいのも確かです。

フィルムカメラ全盛期に発売された製品でもあり、画素サイズの微細化が進んだ現代のCCDカメラや一眼カメラで遊ぼうとすると2分以上の露光では点像にならないことも多かったです。

そこで、極軸をPoleMasterで追い込んだ状態で。1軸だけでもPHD2でガイドしてあげれば最強なのでは?というのが今回の企画です。

・・・今回といっても、実は秋ごろからずっと取り組んでました。LX200コマンドへの部分的な対応で自作オートガイダーを作られている先人方がたくさんおりましたので、それを参考にArduinoのプログラムを弄り回してたのです。

で、比較的かんたんにコードが出来上がったものの、実際に動かしてみるとPHD2との通信時だけ通信がコケるんですよ。PHD2がCOMポートに送っているコマンドをシリアルモニタで読んで、その内容をシリアルモニタでArduinoに手打ちしてあげると正しい反応が帰ってきます。ただ、PHD2とArduinoを直結するとArduinoからの返事がぜんぜん帰ってこない。めっちゃ困りました。

PHD2が「#:GD#」と最初に送出したっきりで、その後の通信がどっちもだんまりになりました。原因究明に3ヶ月ほどかかりました・・・

結局、PHD2からの最初のコマンド送出にArduinoが追いついてないだけだったようです。Arduino側でSerial.begin(9600);とシリアル通信の初期化を行った直後に「:GD#」コマンドへの返答として「"+00:00:00#"」と返すようにコードを一行追加したら、あとの通信がすべて正しく成立しました。

そのうち実地でオートガイドが成立するかテストしますが、今日はこのへんで。

NEWTONYにCeres-Cの組み合わせでうまいことガイド鏡になってくれるといいなあ・・・


今回のコード、とりあえずpastebin.comにあげてみました

https://pastebin.com/mHWKYKdC


TODO:

恒星時だけでなく太陽時や月時への対応

赤道儀に加速度センサと地磁気センサをつけてだいたいどのあたりを向いてるのかとれるようにする


2022年11月24日木曜日

PENTAXカメラ用のリモートレリーズ装置を作成した

【背景】

PENTAXのカメラをSharpcapに繋いで電子観望したいという要求があった。

そこで、ASCOM Driver for DSLRを改造して、PENTAX KP, K-1(II), 645Zに対応させた。

https://github.com/yreeen/ASCOM.DSLR

https://hiroooo000-blog.hatenablog.com/entry/2022/08/31/000406

これはRICOH Camera SDKを経由してカメラを制御しているのだが、残念ながらPENTAX部門がRICOH内で独立状態となり、SDKをメンテする人がいなくなってしまった。

結局、2022年10月ごろにRICOH Camera SDKは公開停止となった。

しかも、最後までバルブ撮影がサポートされなかったため、Mモードで30秒までしか露光できない…

【背景おわり】


そんなわけで、どうにかしてバルブ撮影するためにPC側からリモートレリーズを制御できるデバイスが欲しいと思いまして秋月電子さんのサイトを眺めました。

で、Arduino nanoが思いのほか高い(3560円もする!)わけです。

そういえばRaspberry Pi PicoがArduino IDEから弄れるという話をきいていたので、こっちの価格を見てみたら770円で買える。

M-16132】 Raspberry Pi Pico 

【I-07360】 2回路入フォトカプラ フォトリレー 350V0.12A TLP222G-2
【C-05750】 2.5mmΦステレオミニプラグ MP321
【P-13012】 耐熱・細径シールド線 3m(KPPV-SW 7/0.18×2C) 2芯シールド

これでだいたい2000円くらい+送料。フォトカプラの内部LEDの電流制限抵抗には手元に転がっていた100Ωのものを使います。





だいたいこんなイメージ。フォトカプラの型番が違いますが、適当に読み替えてください。

















届いたパーツを適当に組んでいたら、ケース買ってませんでした(´・ω・`)

コンビニうろうろ… ケース的なもの…

フリスクでいっか☆












ケースに現物合わせで穴開けて、うまいことはんだ付けして、ホットボンドで固定して…












できあがり!

適当にコードを書いたら完成です。

そのうちASCOMドライバと連携できるようにドライバを改造しますが、今日はここまで。

完全に自分向けの改造なので、変更したドライバはどうやって公開するかなど検討しないといけませんね…



const int focus_pin = 1;

const int release_pin = 2;


void setup() {
  // put your setup code here, to run once:
  Serial.begin(9600);
  // make the pins outputs:
  pinMode(release_pin, OUTPUT);
  pinMode(focus_pin, OUTPUT);

}

void loop() {
  // put your main code here, to run repeatedly:
  bool focus_flag = false;
  bool release_flag = false;
  while(Serial.available() > 0)
  {
    char c = Serial.read();
    switch(c)
    {
      case 'F':
      focus_flag = true;
      break;

      case 'R':
      release_flag = true;
      break;

      case '#':
      goto endpoint;

    }
  }
  endpoint:
  if(focus_flag)
    digitalWrite(focus_pin,HIGH);
  if(release_flag)
    digitalWrite(release_pin,HIGH);
  delay(1000);
  digitalWrite(focus_pin,LOW);
  digitalWrite(release_pin,LOW);
 
}

 PENTAXの赤道儀を弄るときの備忘録

LEDに過電圧かけると間違いなく死ぬので、久々にいじるときは3Vくらいからかけるように!!!


コネクタはこれ

https://amzn.asia/d/ja0X8MU

航空宇宙用途や無線機なんかに使われるものらしい

10年ぶりに更新

この10年で大学を出て就職してと色々ありましたが、またブログをやってみようと思います

きっかけはカメラ・天文趣味熱の再燃

そこから色々と自作している機材やドライバがあるので、そのへんの備忘録も含めて書き込んでいきます

またエタるかもしれませんが、皆様よろしくお願い致します